在日米軍との間の防災協力法制に関する研究:災害協定に関する実態調査と災害時地位協定の検討

 

研究者:山本 慎一(香川大学 法学部)

 

【平成30年度 共同利用・共同研究実績報告】

研究成果

 標記研究課題は在日米軍との間の防災協力法制に着目し,沖縄県内において在日米軍施設を抱える自治体が在日米軍と締結している災害協定の実態を調査するとともに,災害時における地位協定のあり方を検討するものであった。本共同利用に係る研究助成を受けて,2018年9月24日から沖縄県を訪問し,台風の影響もあり当初の滞在予定期間を超えて10月1日まで,滞在し,調査を行った。具体的には宜野湾市,北谷町,浦添市の各自治体における基地担当部署を訪問し,在日米軍との間で締結した災害協定の種類を調査した上で,日英両言語の原文を入手するための情報公開請求手続を進めた。これにより,各自治体が当該地域内に抱える米軍基地との聞で締結した災害協定(例:「災害準備及び災害対応のための在日米軍の施設及び区域への限定された立入りについての現地実施協定」)や,その標準運用手順等の文書を入手し,災害協定の内容を分析する一次資料を入手することができた。また本共同利用の受入対応教員である高良鉄美先生(法務研究科)の研究室を訪問し,日米地位協定に関する意見交換を行ったほか,地位協定に関連する文献資料の提供を受けた。さらに琉球大学附属図書館沖縄資料室において,在日米軍基地関連の資料収集を行った。これらの資料収集のほか,滞在期間中は沖縄県知事選挙と重なったため,連日の報道資料を通じて基地問題をはじめとする沖縄県内の諸課題を調査するとともに,レンタカーを利用して基地周辺を訪問し,県内に所在する米軍基地の位置関係の把握や周囲の生活環境の調査を進めた。また,本共同利用に係る研究を補完する目的で所属機関の競争的資金に応募し,2018年7月から「駐留軍隊に対する『法の支配』.防衛と防災を架橋する法的枠組みの研究」の課題で研究を進め,前述した文献資料の収集や現地調査に係る必要経費を支出したほか,米軍基地や地位協定関連の文献資料の購入を行った。

 


TOP