所長あいさつ / Greeting from the Director

 

 

 国立大学法人琉球大学の附置研究施設である「島嶼地域科学研究所(Research Institute for Islands and Sustainability: RIIS)」は、島々の文化やコミュニティの多様性、海を介した島外との関係性、島嶼に適した社会・経済システムに関する研究等を軸に多分野融合型の研究を推進し、島々の自律的・持続的発展に寄与しうる研究拠点となることを目指しています。

 その具体的な取り組みとして、島嶼地域研究の成果を共有するために学術雑誌の発刊を重視しており、和文査読誌の『島嶼地域科学』と英文査読誌のOkinawan Journal of Island Studies (OJIS) を毎年発刊し、J-STAGEにおいてオンライン・ジャーナルとして公開しています。また、『島嶼地域科学を拓く 問い直す環境・社会・歴史の実践』(池上大祐・波多野想編 ミネルヴァ書房 2022年)をはじめとする書籍の出版やワークショップ、レクチャーシリーズの開催を通して、島嶼地域研究の視点や方法を紹介し、その必要性・有効性についての認識を広めることにつとめています。

 これらの取り組みを積み重ねることによって、地域研究の一分野としての「島嶼地域科学」を構築することが大きな目標です。そのために沖縄の島々に軸足を置くと同時に、島嶼としての地域課題を共有する国内外の島々を視野に入れた比較研究を進め、それを深化させるための方法論を提示していきたいと考えています。またその考察を通して、島嶼地域の自律性・主体性・当事者性をめぐる議論を活性化し、島嶼地域を「辺境」や周縁とみなしてきた思考様式を相対化することが重要であると考えています。

 このような理念と実践の下、島嶼地域に関心を寄せる国内外の研究者や関係機関との連携を深めてまいりますので、ご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

                    2025年4月1日

                    島嶼地域科学研究所 所長 鳥山 淳


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