これまでの研究プロジェクト / Previous Research Projects
自律型島嶼社会の創生に向けた「島嶼地域科学」の体系化(H28~30年度)
<多分野融合型研究による自律型島嶼社会の研究>
平成28年度から、国際沖縄研究所では文部科学省特別経費プロジェクト「自律型島嶼社会の創生に向けた「島嶼地域科学」の体系化―島嶼地域研究・教育の拠点形成―」に取り組んでおります。国際社会において大国や先進国の論理に埋没せず,自らの地域社会に関する意思決定を自らの手で行うことが島嶼地域にとっての喫緊の課題となっている現在、島嶼地域社会の特性や現状を客観的・科学的に分析するための理論的枠組みとしての「島嶼地域科学」の構築,そしてその体系に基づく島嶼地域リーダー養成のための教育カリキュラムの実践が求められています。島嶼地域のニーズに応え,自律型島嶼地域社会創生に貢献するために、本事業では、島嶼・沖縄に立地する総合大学としての人的資源を活かし、多層的・複合的構造を呈する島嶼地域社会の課題に多角的にアプローチする多分野融合型研究を展開していきます。
<複数ユニットによる多角的・学際的アプローチ>
先行事業である平成27年度に実施した概算要求事業「現代グローバル社会における自律的島嶼社会モデルの構築と実践-島嶼地域研究・教育の拠点形成-」の成果をさらに発展させるため、本事業では、①対外関係(国際関係や海洋政策,人の移動を軸とした大陸・本土との関係性の研究)、②島嶼経済システム(島嶼地域に特有の条件下での持続的経済と財政の自律性の研究)、③島嶼コミュニティ(コミュニティ基盤型地域づくり及び人材育成方法の研究)、④ダイバーシティ(文化・言語・社会・自然の多様性と固有性を保全・継承・活用する方策の研究)、の4つのユニットによる研究体制を継続させ、各ユニットによる研究成果の統合および事業全体の運営を行いながら、多分野融合型学術分野としての「島嶼地域科学」の構築を目指しています。
新しい島嶼学の創造(H23~27年度)
新しい島嶼学の創造
-日本と東アジア・オセアニア圏を結ぶ基点としての琉球弧-
<島嶼学を構成する4つのイニシアティブ>
平成23年度から、国際沖縄研究所が取り組む文科省特別経費(組織改革促進分)プロジェクト「新しい島嶼学の創造-日本と東アジア・オセアニア圏を結ぶ基点としての琉球弧-」が始動します。ここ沖縄から、アジア・オセアニア島嶼圏における持続的発展の実現に向けた提言を発信しようという意欲的な研究プロジェクトです。事業期間は5年間(平成23年度~平成27年度)、「琉球・沖縄比較研究」「環境・文化・社会融合研究」「超領域研究」「研究情報基盤」という4つのイニシアティブを設定し、歴史・文化・政治・経済・環境など多角的な視点から島嶼圏社会を捉え、国内外の機関や研究者とも連携しながら本プロジェクトを推進していきます。
<主体としての沖縄およびアジア・オセアニア島嶼圏>
沖縄をはじめとする琉球弧は、大陸圏との関係性の中で様々な技術や文化、思想等を取り入れ融合させることによって独自の社会を形成してきました。一方、沖縄からの移民として海外に移住した人々の手によってその文化が伝播し、移住先の地域社会に大きな影響を与えてきました。私達は、「多様性」が重視されるべきこの時代だからこそ、様々な歴史や文化に彩られた沖縄の特徴を活かした研究が島嶼圏の発展に貢献できると考えています。
また、沖縄の米軍基地問題を通して極東安全保障のあり方に関する議論も再燃しています。沖縄のみならず東アジア・オセアニア島嶼圏の各国・各地域は軍事・外交における大国との関係性に大きく影響されながら現在に至っています。島嶼圏のこのような位置づけを、大国の側からではなく島嶼圏の主体性に重点を置いて検証することによって、新たな国際平和の実現に向けた処方箋を島嶼圏から提案することを目指します。
『新しい島嶼学』のイベント情報はこちら »
『新しい島嶼学』の研究成果はこちら »
沖縄ジェンダー学の創出(H23~27年度)
沖縄ジェンダー学の創出
-沖縄におけるジェンダー学の理論化と学術的実践-
<沖縄を立脚点としたジェンダー研究>
本事業は主に二つの「双方向性」を実現することを目指しています。「理論と実践」という学問における双方向性、そして「大学と地域社会」の連携における双方向性です。ジェンダーをめぐる現代思想は、諸学問分野の理論に新しい視点をもたらし、その発展に貢献してきました。琉球大学においてすでに長い蓄積のある沖縄に関する様々な研究についても、ジェンダーという視点の導入によって、新しい洞察や知見の集積、体系化、そして更なる進展が期待できるはずです。そのためにも、すでに確立したジェンダー理論で沖縄に関する研究の蓄積を解釈していくだけでなく、沖縄に存在する事例の研究から、既存の理論とは異なる沖縄特有のジェンダー学の枠組を構築していく方向性が重要になります。
<社会との協働によるジェンダーの意識改革>
教育や研究のレベルはもとより、社会や組織レベルで、ジェンダーに対する意識改革を図っていくことも本事業の目的です。ジェンダーは決して孤立した概念ではなく、人間社会の様々な問題と通底していると考えられるため、ジェンダー研究とその教育実践を深化させることは、社会の抱える様々な問題への対処を促すことにもなると考えられます。沖縄の社会から世界に向けてどのような「ジェンダー学」が発信できるか、国内外の諸機関および研究者と連携しながら、次世代に伝えられる成果を目指します。
『沖縄ジェンダー学』のイベント情報はこちら »
『沖縄ジェンダー学』の研究成果はこちら »
中期計画達成プロジェクト(戦略的研究)(H24~27年度)
中期計画達成プロジェクト
琉球・沖縄学における先端的研究領域の開拓
-文理融合型研究を目ざした実践的研究プロジェクト-
<平成25年度プロジェクト研究の目的>
本国際沖縄研究所は、「本学の強みとなる研究分野について、世界をリードする研究拠点を形成する」という研究目標に基づき、「沖縄及び沖縄に関する研究課題について国内外と共同研究を推進する。」ため、2011年度から「新しい島嶼学の創造」と「沖縄におけるジェンダー学の理論化と学術的実践」に着手しています。これらの大型プロジェクトの推進と同時に、本プロジェクトでは、琉球・沖縄学の新たな研究領域の開拓を大きな課題として掲げています。その課題を達成するために、文理融合型の琉球・沖縄学を研究の柱としています。それは、地球環境問題など現代社会が直面する課題へ取り組むためには旧来型の琉球・沖縄学では大きな限界があると考えるからです。そのためにも、本研究所では若手研究者を取り込みながら、多角的な視点で持続的な研究体制の拡大・深化を図ることを研究の目的としています。
<研究の概要>
1)文理融合型の琉球・沖縄学の研究プログラムの実施。 旧来の人文・社会科学分野(琉球沖縄に関する政治・経済・歴史・人類学・民俗学・文学等の領域)に自然系の農学分野および医学等の分野を融合させた先端的セミナー、フォーラム等を実施する。 2)琉球・沖縄学の人文社会系情報(図像、古地図、古文書、地籍図等)の体系的なデジタル化と、地質・サンゴ礁・動植物等の自然環境情報との融合化を図ることで、文理融合型の研究基盤を構築する。