狩俣の「東門」

「地域の知・宮古島市狩俣地区版」について

地域社会の(再)編成において、記憶や記録の重要性が叫ばれて久しい。地震・津波等の災害の現場において地域社会のあり方に対する見直しが進み、コミュニティ・アーカイブズという地域および住民自らの記憶や過去の記録を参加型によってアーカイブする活動が行われているのはその一例である。その活動では、記憶や記録の管理を他者に依存することなく自分ごととして扱う点が重視されている。
他方で、ある地域を研究対象とする研究者は、当地で得た記憶・記録等の情報を研究データとして研究を進め、その成果を論文等として公表する。しかしその研究データや研究成果が地域において共有されることは決して多くない。地域研究の過程や成果が地域と共有されないのであれば、研究者は何のために研究を行っているのかという根本的な問題が問われなければならない。換言すれば、島嶼地域の自律性と主体性を高めるためには、少なくとも研究データに対する地域(住民)の当事者という位置づけが必要不可欠である。記録対象者である地域(住民)が研究データの保存・管理・活用の埒外に置かれていると言わざるを得ない現在の状況を超克しなければならない。

日本学術振興会の「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業」(領域開拓プログラム)のひとつとして琉球大学島嶼地域科学研究所が進めている「対話型アーカイブズによる新たな「島嶼の知」の創出に基づく島嶼地域科学の体系化」https://riis.skr.u-ryukyu.ac.jp/project/wisdom)は、研究者が地域住民の協力を得て調査・研究を進め、そこから得た情報や資料等を研究データとして長期的に保存・管理していく際に、それらの研究データを地域住民と「対話」を通して共有していく方法論を検討するものである。
琉球大学島嶼地域科学研究所は、その方法論を、宮古島市狩俣地区、宮古島市教育委員会と協働しながら構築していく。

2022年3月22日
 島嶼地域科学研究所所長 波多野想

お知らせ

公開日:2022/11/04
 最終更新日:2022/11/04

2022年11月4日地域の知・宮古島市狩俣地区版データベース開設